不動産登記制度のお話し
~不動産登記制度のお話し~
マイホームを購入すると、最後の代金支払い時(「決済」といいます)に司法書士が「登記を申請するのでその説明をいたします」と言って決済現場に立ち会います。
マイホームは購入するけど登記って何だ?そんなことする必要があるのか?と思われる方も多いと思います。
今回は、不動産登記制度についてお話ししたいと思います。
不動産登記制度とは
不動産登記制度とは、不動産に関する所有権等の権利の取得・消滅を、第三者に対して公示するために登記記録を作成し、登記記録を登記所に備え付けて一般に公開する制度のことです。
以下、具体例で説明いたします。
Aさんが自宅を建てるため土地を探していたところ、Bが「相場は2,000万円ですが、特別に私の持っている土地を1,000万円で売ってあげますよ。」と言ってきました。
Aさんはこの話に飛びつき、Bに1,000万円を支払いました。ところが、その土地の本当の所有者はBではなくCだったのです。Bは詐欺師だったのです。
土地は動産と異なり所有していても持ち歩くことができません。また建物のように鍵を渡したり中を見せてもらうこともできません。更地であれば「ここが私の土地です。」と言われても確認のしようがありません。
そこで登記制度が役に立ちます。日本の不動産(土地と建物)は、ほぼすべてに固有の管理番号(「地番」や「家屋番号」)が付けられ、法務局という役所で管理されています。
そして法務局では各不動産ごとに所有者が記録されているので、それを確認すれば所有者が分かります。この所有者等が記録されている用紙のことを一般的に「登記簿謄本」といいます。
Aさんは登記簿謄本を確認すれば所有者がBでないことが分かり、詐欺被害に遭わずに済んだでことしょう。
登記簿謄本には所有者以外の事項も記録されています。典型的なものは住宅ローンに伴う「抵当権」などの担保権です。
担保権とは「住宅ローンの返済が滞ったら、お金を貸した人はマイホームを裁判所を通じて強制的に売却できる権利」です。
上記の例で所有者がたとえBであっても抵当権などの権利が付いていた場合、Bが支払いを滞ると強制的に売却されてしまう訳ですから、怖くて購入できませんよね。
このように不動産登記制度は不動産に関して安全に売り買いできるための制度なのです。
ここで決済の話に戻ると、ほとんどの買主さんは住宅ローンを利用するので、抵当権を設定するために買主さんの名義に変更する必要があるのです。住宅ローンを利用しない場合でも数千万円もする不動産を購入したのに、名義は売主さんのままでは嫌ですよね。
登記簿謄本の名義が自分のものになれば、この不動産は自分のものだと第三者に主張することができます。
今後マイホームを売却することがあれば、新しい買主さんに名義を変更することになります。このようにして、常に現在の所有者に名義を変更していくことにより不動産取引の安全を図ります。